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排泄ケア研究発表

再びトイレでの排泄をめざして ~98歳入所者様へのアプローチの実践~

社団法人石岡市医師会 介護老人保健施設「ゆうゆう」 リハビリテーション科

理学療法士 鈴木祥二・渡邊 基子(リハビリテーション科長)

はじめに

当施設入所者様が1カ月間の入院により身体機能が低下し立位保持困難となった。それに伴い排泄方法がトイレ誘導からオムツ対応に変わってしまった。改善を図るためには日常生活を変えることの大切さを感じながらも、生活場面の関わりを介護職・看護職員にまかせていた。また実生活の現場に出向くことをしなかったために利用者様の「諦め」という気持ちを感じとれず「高齢者は回復困難」という固定概念を本人や他職種の人と共に強調してしまっていた。今回、本症例と向き合うことにより生活場面を知ることが利用者様の本当の気持ちやチームアプローチの具体性を見つけ出す大切な場であると実感できる機会をえたのでここに報告する。

キーワード:トイレ誘導・高齢者・チームアプローチ

症例紹介

仮説・目標 仮説 ・左膝関節の痛み:長期臥床による筋や結合組織(靭帯・間接包)の柔軟性と伸張性の低下 ・身体機能の低下:活動性低下による筋力低下 ・精神的混乱:オムツ対応にて自尊心の喪失、出来ない自分に変わった、この先どうしたらいいのかという不安 リハビリ目標 ・短期目標:トイレ誘導を開始するため10秒立位保持 ・長期目標:手摺を把持して立ち上がり立位可能

入所時

再入所時

経過

プログラム 前段階 ・個室という環境であるため日々コミュニケーションをとり外界との関わり増やし混乱を軽減させる。リハビリ中に出来る動作の確認 前期 ・側臥位にて骨盤後方下制(体側の内・外腹斜筋、等尺性収縮により多裂筋などインナーマッスル)、肩甲帯前方下制(大胸筋~腹筋群の収縮)、痛みがある左膝関節ROMex + 中期 ・朝のトイレ誘導開始(介護職員のマンパワー不足により共同で行う)。フロアーとの連携(L字柵の設置、移乗時に立位保持、車椅子自走を促す) + 後期 ・リハビリとフロアーともに運動量増やす、自主メニューとして車椅子自走を行う

再入所~2カ月

2カ月~3カ月

3カ月~4カ月

4カ月~5カ月