排便ケア
便失禁の原因と症状
便失禁についてもその主な症状と原因を知っておき、ケアに役立てましょう。
便失禁だけでもなくなれば、介護負担は驚くほど軽減できますし、便器に排便する生活習慣を取り戻すことができれば、ご本人の生活意欲も格段に向上します。
便失禁の症状
症状には、肛門括約筋のゆるみによりトイレに間に合わない、強度の便秘により硬便が詰まり便秘と下痢を引き起こす、腹圧がかかりもれる、ガスと一緒にもれる、痔による痛みや肛門周辺の汚染によりもれる、便意の喪失など、主に身体機能の問題からくるものがあります。
また、ストレスなどによる緊張で便意をもよおす、知らないうちに出てしまう、という症状もあります。
直腸・肛門機能とその状態
直腸機能(便をためておく機能)と肛門機能(便を出す機能)は、互いに協調しあって機能しています。それらのうち、片方あるいは両方がうまく働かないと、便失禁が起こります。
蓄便機能の障がいでもれてしまう場合
直腸機能は過活動状態で、肛門機能は括約筋不全の傾向があります。肛門括約筋が敏感になると、無意識のうちに直腸が収縮を起こし、意思に反してもれてしまうのです。
便排出機能の障がいでもれてしまう場合
直腸機能は低活動状態で、肛門機能も弱く、閉まらなかったり開かない閉塞状態にあります。こうした低活動の状態の時は、便がたまり過ぎるためにもれてしまいます。
便失禁の原因
便失禁の原因には、以下のような内容が考えられます。
- 寝たきりで、排便に必要な姿勢が保持できないことに起因する強度の便秘(便づまり)
- 下痢(薬の副作用、下剤の乱用など)、便汁のもれ
- 脳卒中、脊髄神経の損傷、糖尿病などによる、神経系の障がい
- 外傷、手術などによる、解剖学的な障がい
- 運動機能障がい、認知症などによる、機能的な障がい