排尿ケアの技術
自立を支援する排泄ケアのポイント
トイレで自分で排泄することは、人間が人間らしく生活するための基本です。
生活の自立を求める本人の意欲とともに、家族・社会による総合的な生活支援が必要です。
生活意欲(生活実感)を持たせるためのケア
高齢者に生活意欲を持たせるには、食事や運動に気を配るだけでなく、日常的な生活習慣や排泄環境を整えることが大切です。
「カレンダー」と「時計」を見る生活
定時に起きる、着替える、あいさつをする、進んで食べる、リハビリに意欲を持つ、楽しみ(行事・活動)を持つ、季節を感じる、などを意識する。リアリティ・オリエンテーションの基本的なツールもカレンダーと時計。
食事
適切なカロリーを摂取し、規則正しい3度の食事を心がける。
咀嚼しやすく、繊維質の多い食事。塩分を控える。
水分摂取
適切な量(1日500~1200cc)の水分摂取。排便を促す起床時の冷水摂取。
運動
- 便座に座るための座位保持の訓練
- トイレで衣類着脱のための立位保持の訓練
- 失禁を減らすための骨盤底筋群の訓練
- いきみ、踏ん張るための呼吸筋、腹筋の訓練
※詳しくは「排便体操」へ
衛生
口腔ケア、入浴ケア、陰部清拭・洗浄。
トイレ環境の整備
トイレまでの距離、トイレまでの障害物、トイレの広さ、トイレの扉・手すり・介助バー、便器の様式・高さなどの整備。
用具を活用するケア
ポータブルトイレ、尿器・便器、紙おむつ。
カテーテルによる間欠導入。
杖(四点杖、ウォーカーケイン)、車イスによるトイレ誘導。
排泄ケアのポイント
生活意欲に関わる面
- 排泄に関心を持ってもらう
- 尿意・便意を伝えてもらう
- プライバシーへの配慮
- 自立排泄への意欲を共有する(排尿自覚刺激行動療法)
- 本人にとっての快適性を考えた失禁対策
食事、運動に関わる面
- 便秘の解消(便失禁を減らす)
- 肥満を抑える
- 膀胱容量を大きくする訓練を行なう
- 排尿間隔を延ばす
- 夜間の尿量を減らす
排泄環境に関わる面
- 排泄リハビリテーション
- 排泄姿勢の保持
- 快適な失禁対処(ソーシャル・コンチネンス:たとえ失禁しても、社会に迷惑をかけないことで社会参加の意欲を増やしていくケアの提案)