排便ケアの実践
高齢者のための排便体操
排便体操(臥位プログラム)
ユニ・チャーム排泄ケア研究所
臥位プログラム1:膝抱え【腹部を圧迫してガスを抜き、腸の動きを活発にする】
仰向けになって両膝を胸の方に近づけ、5秒間静止します。次に、リズミカルに軽くお尻が浮くように反動をつけて揺り動かします。両膝が無理なら、片方ずつでもかまいません。10回繰り返します(1セット)。状態に合わせて2~3セット行います。
POINT
- 介護者が膝を押す場合、お腹の方に押し付けるのではなく、顔の方に押す感じで行います。
- 膝や股関節に痛みや違和感を感じるようであれば、お尻を持って浮かせるようにしましょう。
- 運動のポイントは、膝が胸につくことではなく、お尻が床から浮いて、みぞおち・おヘソ・下腹部が近づいて、お腹にシワがよることです。
臥位プログラム2:仰向け腹式呼吸【腹部を動かすことで腸の動きを促す】
口をややすぼめて、細くゆっくり息を吐きながら、お腹をへこませます。できるだけたくさん息を吐き、吐ききってから全身の力を抜くと、自然に息がお腹に入りふくらみます。10回以上繰り返します。
POINT
- お腹に厚手の本を乗せる(あるいは介護者がお腹に手を添えてやや押さえる)と腹式呼吸の要領がつかみやすくなります。
臥位プログラム3:体幹ねじり【わき腹のストレッチで腸にリズミカルな刺激を】
両腕を広げ仰向けになり、肩が床から浮かないようにして、両膝を立てたまま横に倒します。うまく倒れないときは、介護者が直接、腰を動かして身体をねじるのも良いでしょう(肩が浮いてしまう場合は、介護者が浮かないように軽く肩をおさえます)。ゆっくりと10往復くらい繰り返します。片脚を曲げて倒せない場合は、両膝を立てたまま横に倒します。うまく倒れないときは、介護者が骨盤を押して、曲げるのを助けます。
POINT
- 体の硬い人は、膝を倒すと、腰・骨盤とともに肩も床から離れて一緒についてきます。これではあまり、ねじれていません。膝を倒したときに、肩と腰とが離れていくようになれば、よくねじれています。
臥位プログラム4:お腹の「の」の字マッサージ【便秘で便が滞留しやすい大腸のS状結腸を刺激】
- 大腸の蠕動運動の方向に沿って、「の」の字を描くように、おへその下→右下腹部→おへその上→左下腹部と、時計回りに、手のひらで、1~2cmくらい、沈むくらいの力加減で、指圧しながら、円を描くように10回押します。そして、左の腰骨の出っ張りから、やや内側下にあるS状結腸を手のひら、あるいは親指の根元でゆっくり10回押します。
- 腹部の緊張を解くために、膝を少し曲げておくとよいでしょう。
- S状結腸の位置は、へその平行線(ヨコの線)と左乳首からタテに下ろした線とが交差するところから少し下の位置です。
- 2セット繰り返します。