排便のメカニズム
蓄便・排便のメカニズム
肛門各部位の役割
医療法人社団俊和会 寺田病院 神山剛一
今度は便が直腸まで運ばれてきてからのお話です。肛門近くまで降りてきた便をどのようにトイレまで我慢しているのか、またトイレに行ってからどうやって出すか考えてみましょう。
肛門の筋肉の種類
肛門は2種類の筋肉からできています。内側の内肛門括約筋、外側の外肛門括約筋です。内肛門括約筋は腸の筋肉の一部で、平滑筋という自律神経がコントロールする筋肉です。
内臓の筋肉の一部である内肛門括約筋は、おしりを締めようと意識しなくても、自律神経のはたらきでおしりを締めてくれます。
一方の外肛門括約筋は、体性神経支配の横紋筋です。手や足の骨格筋と一緒で、自分で締めることができます。内肛門括約筋は普段、肛門を閉じてくれていますが、肛門の近くまで便が降りてくると緩んでしまいます。しかし、その時は「便意」を感じることができるので、便がもれないように、外肛門括約筋を締めることができます。このように肛門の締まりは平滑筋と横紋筋の協調作業で調整されています。