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下剤に頼らない排便ケア

下剤の効果と問題点

下剤の種類と効果

医療法人社団俊和会 寺田病院 神山剛一

下剤には緩下剤や刺激性下剤と言ったものがあります。緩下剤の代表は酸化マグネシウム、刺激性下剤には、商品名でいうとアローゼン、プルゼニド、ラキソベロンなどがあります(表1)。

表1:緩下剤と刺激下剤
  分類 一般名 商品名 作用時間
緩下剤(塩類下剤)   酸化マグネシウム カマ 2~3
マグミット 2~3
マグラックス 2~3
刺激性下剤 アントラキノン系 センナ アローゼン 8~12
プルゼニド 8~13
ダイオウ
セチロ 8~15
ジフェニルメタン系 ピコスルファートナトリウム ラキソベロン 8~17
ビサコジル コーラック 8~18

酸化マグネシウムは塩類下剤とも呼ばれ、大腸における水分の吸収を抑制します。つまり便に含まれる水分が多くなるので便を軟らかくする作用があります。一方の刺激性下剤は、大腸の蠕動運動を亢進させて、腸内容の移動を促進させます。

どれも大腸にはたらきかけて便通に効果を発揮する薬です。

「排便のメカニズム」では便がどのように作られるかを解説しました。

この中で、食事に含まれる食物繊維が便の原料となることに触れ、便の量は摂取した食物繊維の量によって変わってくることと、また便が固くなったり軟らかくなったりすることは、大腸の中を移動するスピードによって変化することを記述しました。

排便のプロセスには生活習慣などが関わってきます。

即ち、起床してから朝食をしっかり食べ、食後に便意を感じれば、そのタイミングを逃さずトイレに行ける余裕があるかどうか、或いは、トイレに座った時、便を出すために適度ないきみで排便ができるかどうかや、さらにその間正しい姿勢をキープできるかどうかなど、実際には様々な要素が関係しています。

食生活 活動性(座位保持・歩行) 認知能力(便意や認知症の有無) 手指巧緻性(衣類の着脱,拭き取り) 消化・吸収~蠕動運動 下剤の作用は主に蠕動運動を促進させる

消化・吸収のメカニズム

一方で、下剤の効果は、あくまで便が大腸を移動するスピードを促進させるという限定的なものに過ぎません。

便がさほど貯まっていないのに緩下剤を使ったらどうなるでしょう。

便が軟らかくなるだけですから、びちゃびちゃの便が出るだけです。

同じような状態で刺激性下剤を使った場合も、便が大腸を通過する時間が短くなるので下痢になります。

大腸に便が貯まっていなければ、下剤の効果は充分に発揮されず、その状態では、緩下剤であっても刺激性下剤であっても、期待通りの便が出ないので、さっぱりせず、さらにひどい時は、便も出ないのに腸だけ動いて、お腹がゴロゴロ違和感を生じることさえあるのです。

排便にはいろいろなものが影響していると言われています。

というとこは、種々の排便に影響を及ぼす要素の中で,下剤はこの腸のはたらきだけに作用するのだと言うことが分かります。

その他にも排便に影響するのは食事や活動性があるにもかかわらず,下剤だけ使って排便をコントロールするのはかなり無理があることが分かっていただけるのではないかと思います。

大腸が便を運ぶベルトコンベアであるとしましょう。下剤にはそのベルトコンベアのスピードをアップさせるはたらきがあります。

しかしながらベルトコンベアの上に何かものが乗っていなければ、いくらベルトコンベアのスピードを早くしても、何も運ばれては来ません。

便の量は食事の中の食物繊維の量で決まってきます。

食物繊維のことを考えずに下剤で便を出そうとする行為は、ベルトコンベアの上にものを乗せずに、ベルトコンベアのスピードを早くすることと同じです。

POINT 下剤の効果