下剤に頼らない排便ケア
下剤の効果と問題点
排便日誌と下剤の使用
医療法人社団俊和会 寺田病院 神山剛一
では、下剤はどのように使えばいいのでしょう?
下剤がどのようにはたらくかを考慮すれば、便の固さに応じて調整すべきであることが分かります。
つまり固ければ下剤を増やし、軟らかければ減らすといった方法です。
通常は「○日排便がなければ下剤を使う」など、便の回数に応じた下剤の使用法が一般的であろうと思います。もちろんその方法で便が出ていれば、敢えて変更する必要はありません。
問題は下剤を使ってもうまく便が出ない場合です。
そのような時にそれぞれの人にちょうどいい下剤の使い方を見つけていくためには、排便日誌を用います。
排便日誌には便が出た時間と量、そしてできればブリストルスケールに準じた形状を記録します。
さらに下剤を飲んだ場合は、何時に何をどれくらい飲んだかの記載が必要になってきます。
これを最低2週間から1カ月続け、その記録をもとに下剤の調整をします。
例
- 毎日下剤を使って毎日便が出ているけども、出ている便は軟らかい。
- ブリストルスケールのType6や7といった、軟便、下痢状の便が出る。
この場合、まずは量を減らします。
アローゼン2袋を飲んでいれば、1袋に減らしてみる、または、アローゼンを1袋飲んでいる場合、緩下剤の酸化マグネシウムに変更してみるなど、とにかく便が軟らかければ、思い切って下剤を減らします。
その上で、少し固い時は、酸化マグネシウムで1日に0.3g~2.0gまで細かく微調整します。
次に毎日下剤を飲んでいるのに、便が出ない人の場合です。
下剤は24時間以上経過して効果を発揮することはまずありません。
ですから、便が出た前日の下剤は効いたのかもしれませんが、その前々日、さらに3日前に使った下剤は無効だったと言えます。
そこで、毎日便が出ない人は、下剤を飲むのを止めます。
さきほどの排便日誌の記録を元に、例えば、毎日プルゼニドを飲んでいるにもかかわらず、週に2回しか便が出てなかったとします。
この場合、便が出た前の日のプルゼニドは有効とし、それ以外のプルゼニドは無効として、省いてしまうのです。
そうすると、プルゼニドの内服は週に2回で良いと言うことになります。
もちろん排便日誌への記録は続けます。
翌週の排便日誌で便が出なかったり、固い場合は、週2回から、2日に1回へ間隔をせばめたり、あるいは週2回のプルゼニドに、酸化マグネシウムを加えて様子を見ます。
何をどのぐらいの量、そして、どのぐらいの間隔で投与するかは、まさにケースバイケースなのです。
さらに言えば、個々のケースでさえ、体調や行動様式によって使い方を変えていいのです。
いずれにせよ、下剤の作用機序を考慮し、排便日誌の記録から調整する場合は、「~日に1回は出す」と言った間隔を基準とするのではなく、ブリストルスケールのType4の形の便が出るように調整することを勧めます。