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排便のメカニズム

蓄便・排便のメカニズム

排便に必要な3つの要素・まとめ

医療法人社団俊和会 寺田病院 神山剛一

便を出す時

それでは、いざ便を出そうと言う時、どうやっているかというと、3つの大きい要素が関係しています。

1つはふんばる力。便を出す時は主に横隔膜や腹筋の力を使っていきみを加えます。いきみは肛門に向かい、便をしぼり出す力になります。もう1つは、腸が便を押し出す力です。それは直腸そのものがしぼんで便を出そうとする力です。たとえば、下痢をしているときは、ふんばらなくても勝手に出てしまいます。下痢がひどいとこらえるのが大変なぐらいで、そう言う時はとても強い便意を感じます。一方で便がぽろぽろしているときは、さほど強い便意はなく、すんなりとは出ないので、頑張ってしぼり出そうとします。

このことから「便意」は腸が便を押し出す力とを考えても良さそうです。いずれにしても便の排出は「便意」のある状態でいきみを加えて行われています。また正しい座り方ができるかどうかも重要です。やや前屈みになった姿勢が排便には適しており、この姿勢ができない時や、不安定な時は、とても排便がしづらくなります。

便を出すときの3つの要素 1.便意 腸が押し出す力 2.いきみ 腹筋の力 3.正しい姿勢

POINT 出す時はいきみと便意と姿勢

まとめ

直腸と肛門のはたらきのまとめです。

内臓の筋肉である平滑筋と、骨格の筋肉である横紋筋の協調作業によって、便をもらさないようにしています。直腸と内肛門括約筋は平滑筋ですから、無意識の状態でも直腸が広がって自然に便が貯まっていき、内肛門括約筋は肛門を締めてくれています。ある程度便が貯まってくるとその刺激で内肛門筋は緩んでしまいますが、その際は便意を感じるので、今度は横紋筋である外肛門括約筋でおしりを締めることができます。

その後トイレまで我慢して、便座に座り、便を出すためにお腹に力を入れてふんばります。便意が強い時はさほど力まずに便を出すことができるので、これは腸のしぼり出す力と考えることができます。

この間排便にふさわしい座り方をすることも必要で、排便の間はその姿勢をキープしなければなりません。逆にいえば姿勢を維持できないような場合は、姿勢の問題から排便困難となります。

POINT 直腸肛門機能

横紋筋と平滑筋の協調作業

神山 剛一

医療法人社団俊和会 寺田病院

外科,胃腸科,肛門科

専門分野

消化器外科

資格

医学博士、日本外科学会専門医、日本老年泌尿器科学会評議員など

略歴

1992年昭和大学医学部を卒業し、以降消化器外科医として直腸癌の外科治療に携わる。その過程において排便機能の重要性を認識し、術後の排便障害だけでなく、いわゆる便秘や便失禁の診断治療、さらにリハビリテーションや在宅医療の現場における排便コントロールに関しても積極的に取り組み、全国各地で啓発活動を行っている。2017年10月より現職。