排便ケアの実践
高齢者のための排便体操
排便体操(座位プログラム)
ユニ・チャーム排泄ケア研究所
座位プログラム1:座って腹式呼吸【おなかを動かすことで腸が揺さぶられる】
- 口をややすぼめて、細くゆっくりと息を吐いていきます。できるだけたくさん息を吐きます。お腹に手をあてて確認すると、おなかもへこんでいくのがわかります。息を吐ききって全身の力を抜くと、一気に息が入ってきます。この時、お腹に手をあて、おなかが膨らんでくることが確認できれば、正しい複式呼吸をしています。
- 「鼻から息を吸ってお腹をふくらませてください」「口から息を吐きながらお腹をへこませてください」と声をかけます。
- 息を吸ってお腹をふくらませるときに、介護者はお腹に添えた手に少し抵抗を加えます。抵抗を加えることで、利用者自身がお腹のふくらみを感じられるようになります。吐くときには、介護者も手の力を抜きます。
- 吐くときは上半身を前に倒すように援助し、吸うときは上半身を後ろに倒すよう援助します。
- 10回以上繰り返します。
座位プログラム2:上体を左右に動かす【腸が左右に引っ張られる。また、背骨のゆがみをとって、神経の働きを高める】
- イスに座り、まず背スジを伸ばし、両手を、床と平行に、広げてあげ、腰から上を水平に右にずらします。2~3秒してから元の体勢に戻して、今度は左方向にずらします。肩が傾かないように注意します。両手をあげられない場合は、下ろして行います。その際、肩が下がらないようチェックします。
- 20~30往復繰り返します。
座位プログラム3:膝あげ腹筋【お腹、特に下腹部の強化】
- イスに浅く腰掛け、両足脇の座面に手をついて少し背を丸めます。膝を曲げたまま、両脚をゆっくりあげて、しばらくキープします。できれば5秒ぐらい。きつければ、片脚ずつ行います。2~3秒でもかまいません。
- 10回(片脚の場合は20回)繰り返します。
- 上半身を後ろに倒すと、膝もあがりますが、これでは腹筋はあまり働いていません。
- 膝と胸とが近づくように動かし、そのときに、おヘソを体のなかに押し込めるようにすると腹筋が十分に働きます。
- 食堂で行うときは、テーブルに上半身が寄りかかってもかまいません。
座位プログラム4:押し合い腹筋【押し合うことで、お腹に力が入り、腹筋強化に】
- 協力者と向き合うようにして、イスに座り、両腕を伸ばして手を組みます。そして、押し合います。
- 1回5秒間の勝負で、5回繰り返します。
- 肘が曲がっていたり、体が前に倒れてしまうと、腹筋が効果的に働きません。
- 上半身を起こして、腕をまっすぐに伸ばして行います。
- 車いすに座って行うときは、車イスの背もたれにもたれないように、車イスが倒れないように注意します。
座位プログラム5:体幹をねじる【わき腹のストレッチで、腸にリズミカルな刺激を】
- 手のひらを正面に向けて両手をあげます。体幹を回旋した方向で反対側の手のひらに触れます。
- 交互に5回繰り返します。
- 手をあげる代わりにイスの肘受けを握ってもらってもよいでしょう。
- この運動は、肘を伸ばすと容易に両手は合わさりますが、体はねじれていません。
肘は曲げて、肩を動かして体の前にもってくるようにすると効果的にねじれています。