排泄ケア研究発表
排せつ介助の見直しから始まる、人と技術が二人三脚で取り組む新しい介護の形
岡山県 社会福祉法人津山福祉会 高寿園
*この記事のPoint
- 特別養護老人ホーム「高寿園(社会福祉法人津山福祉会、岡山県津山市)」は、「第4回全国老人福祉施設大会・研究会議 〜JSフェスティバル in 山口」実践研究発表 優秀賞を受賞
- 受賞事例は、介護リフトとICT機器を活用し、排せつケアの見直しから始まる「生産性向上の取り組み〜可能性を信じたケアで介護士のモチベーションアップ〜」
- 業務の可視化(タイムスタディ)により、夜間の排せつ介助が入居者の安眠を妨げ、職員の負担になっていることを突き止め、排せつケアの見直しから実践した結果、1週間当たりの排せつケア時間が129.1時間から85.7時間に大幅に削減できた。
岡山県津山市にある特別養護老人ホーム「高寿園(社会福祉法人津山福祉会)」は、「第4回全国老人福祉施設大会・研究会議 〜JSフェスティバル in 山口」実践研究発表 優秀賞を受賞されました。
受賞事例の最新テクノロジーの導入と組織改革を通じた介護実践についてご紹介します。排せつ介助とテクノロジーは一見関係なさそうに思われますが、生産性向上を実現し、新しい介護の形を作り、利用者の暮らしやすさとスタッフの働きやすさを同時にかなえています。
1. 排せつケアの見直しによる生産性向上とQOLの劇的改善(受賞事例)
業務の可視化(タイムスタディ)により、夜間の排せつ介助が入居者の安眠を妨げ、職員の負担になっていることを突き止めました。これに対し、以下の取り組みを科学的なデータに基づいて実践しました。
- 新しい排泄ケアマニュアルを作成し活用:メーカーの勉強会で、排せつケア用品の使用方法を学び手技を統一し、それをマニュアル化し全体に共有。
- 尿量測定と排便時間の把握:個々の尿量や漏れパターンを5〜7日間測定し、最適なパッドの選択やトイレ誘導の時間を検証。
- 個別化されたケアへの移行:夜間のおむつ交換回数を減らし、適切なタイミングでのトイレ誘導へ変更。
- これらの取り組みにより、1週間当たりの排せつケア時間が129.1時間から85.7時間に削減でき、トイレ排泄率も37.5%から68.7%に増加し、排せつケアの効率化とトイレ排泄の増加を実現しました。
- 最適なパッド選択、手技の統一により、排せつケア物品の使用量が適切になり、費用は1カ月当たり532千円から393千円に大幅削減されました。
2. 「人と技術の融合」による暮らしやすさと働きやすさの両立
介護リフト(入居者の心身の健康サポート、スタッフの負担軽減)や、見守り機器などの最新ICT機器を導入することで、限られた人員でも安全で質の高い介護を可能にし、スタッフの夜勤ストレスや負担を軽減しています。各種データとパッドのあて方や種類選択、入居者についての意見交換などでコミュニケーションが増え、自分のケアへの責任が生まれ、自信と新たなチャレンジにつながったそうです。
3. 課題を現場に丸投げせず組織全体で解決する体制
新しい機器の導入当初は現場での反発や戸惑いもありましたが、機器に慣れるまでは徹底的に講習を行い、機器の使い方だけでなく、問題の放置が起こらないようにしました。「Solution課」という専門の役職を配置し、自ら現場に入り、対話を通じて、職員の孤立を防ぎました。ユニット間でスタッフの交換留学など、施設全体の風通しを良くし、全員で改善を目指す風土を構築しています。
お取り組みの詳細はこちら
社会福祉法人津山福祉会 高寿園
住所:岡山県津山市下高倉西1581-1
TEL:0868-29-0115
入居定員:80名
URL:https://www.kojuen.jp/
1980年設立。「居心地のよい、笑顔あふれる、私らしい暮らしと、人を支える専門職」をケア理念に掲げる、人権の尊重と地域福祉の拠点。入居者の暮らしやすさとスタッフの働きやすさ、そして人と技術を融合させた介護を目指しています。
高寿園Instagramでも日々のケアが紹介されています
*この記事に関する質問
Q. なぜ、生産性向上の取り組みが排せつケアから着手したのでしょうか?
A. タイムスタディの結果から排せつ介助に着目してみると、夜間でも介助が多く、入居者の睡眠の妨げと、職員の負担になっていることがわかったためです。取り組み前の夜間訪室回数は、入居者1人当たり平均6回だったところ、取り組み後は1.5回に減少し、入居者の睡眠も改善しました。
Q. 排せつケアの見直しとは、具体的に何をしたのでしょうか?
A. 夜間の排せつパターンを見直すために、メーカーに依頼して勉強会を開催し、おむつの機能と使い方を全員で学び直しました。そして、ユニット内で個々の排せつパターンを共有し、適切なパッド選びや最適なタイミングでのトイレ排泄を実施しました。これにより、1週間当たりの排せつケア時間が129.1時間から85.7時間に削減でき、トイレ排泄率も37.5%から68.7%に増加し、排せつケアの効率化とトイレ排泄の増加を実現しました。
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ユニ・チャーム株式会社 グローバル排泄ケア研究所
2000年設立。全国の施設・病院で排泄ケアの実態調査などを行いながら、医師、看護師、介護福祉士、理学療法士など社外専門家との共同研究活動も展開。
また、排泄ケアの知識や技術を広く社会に普及するため、学校や地域での啓発活動も実施している。