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排便ケアの実践

生活習慣の改善による排便ケア

排便体操プログラム実践事例

ユニ・チャーム排泄ケア研究所

臥位プログラム実施事例

ベッド上で「臥位のプログラム」を実施したMさん(女性、85歳)の事例

利用者 Mさん 女性 85歳
要介護度 5
障害老人の日常生活自立度 C2
認知症老人の日常生活自立度
現病歴 糖尿病、高血圧症、認知症

Mさんは要介護度5、日常生活自立度C2,認知症の生活自立度Ⅳで、ほとんどの時間をベッド上で過ごされており、すべての排泄がおむつにされていました。毎日定時に酸化マグネシウム0.5~1.0gが投与されていましたが、便の性状はほとんどが泥状便や水様便で、便失禁によるおむつからの外もれも頻繁に起きていました。40日間ベッド上で、「膝かかえ、腹式呼吸、体幹ねじり、腹部マッサージ」の排便体操を毎日15分間続けました。排便体操実施期間中は酸化マグネシウムの投与を中止しました。26日目に直腸に便が溜まっている状態が確認されましたので、レシカルボン座薬の挿肛と摘便を一度行いました。排便体操開始後は、41日間中34日間に排便があり、便の性状は85%が普通便、軟便(ブリストルスケール:4~5)に安定し、おむつからの外もれはなくなりました。

実施プログラム

一日一回、10分~15分実施

実施日数:40日間(行事日を除く毎日)

介護スタッフアンケートの結果

[便の性状]普通便・事後:30% 軟便・事後:60% 泥状便・事前:60% 水様便:事前:40% 不明・事後:10%

[便のおむつ(外)漏れ]全くない・事後:40% 時々ある・事前:100% 時々ある・事後:60%

[便による肛門周囲の肌トラブル]全くない・事前:60% 全くない・事後:80% 時々ある・事前:40% 時々ある・事後:20%

車椅子での座位プログラム実施事例

車椅子で「座位のプログラム」を実施したRさん(男性、100歳)の事例

利用者 Rさん、男性、100歳
要介護度 3
障害老人の日常生活自立度 B2
認知症老人の日常生活自立度 Ⅲa
既往歴 右慢性硬膜下血腫、腰部椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症

Rさんは要介護度3、日常生活自立度B2、認知症の生活自立度Ⅲaで、昼はトイレ誘導、夜はおむつに排泄の状態でした。便秘がちでしたが、排便のある日は、少量の便が頻回に続き、肛門付近がただれており、下剤は頓用(4日間排便がないと投与)で、センノサイド錠が投与されていました。37日間車椅子に座った姿勢で、「腹式呼吸、膝あげ腹筋、押し合い腹筋、体幹ねじり」の排便体操を毎日15分間継続しました。排便体操開始後は、排便回数が減少し、排便はトイレで、ある程度まとまって出るようになりました。また、便の性状も、61%が普通便、軟便(ブリストルスケール:4~5)となり、泥状便、水様便の比率が減少しました。

実施プログラム

一日一回、10分~15分実施

実施日数:37日間

介護スタッフアンケートの結果

[便の性状]普通便・事前:約20% 普通便・事後:30% 軟便・事前:約30% 軟便・事後:50% 泥状便・事前:約30% 泥状便・事後:20% 不明・事前:約10%

[まとまった便の排泄]全くない・事前:約30% 時々ある・事前:約40% 時々ある・事後:約90% いつも・事前:約20% いつも・事後:約10%

寄稿:船津 良夫(1998年~2017年 ユニ・チャーム排泄ケア研究所 主席研究員)