排便ケアの実践
生活習慣の改善による排便ケア
生活場面で実践できる排便ケア・プログラム
ユニ・チャーム排泄ケア研究所
生活モデルで改善をめざした排便ケアの実践
高齢者の排便障がいは、消化器系の疾患に起因しているケースもありますが、多くのケースは離床時間の減少や食事量の減少等、生活習慣や食習慣の乱れに起因しているといえます。生活習慣に起因する排便障がいへの対処は、医療モデルでの治療に頼りきるのではなく、生活モデルでの改善を推進するのが本来のケアであると感じます。
ユニ・チャーム排泄ケア研究所は、大阪府の社会福祉法人 博光福祉会の協力を得て、特別養護老人ホーム「寿里苑」と介護老人保健施設「寿里苑フェリス」で、食習慣や生活習慣の改善をめざした生活モデルでの「排便ケアプログラム」を実践しました。
プログラムは、
- 「食事の見直し」(食事量の確保、適切な量の水分摂取、繊維質食物の摂取)
- 「腸の働きの促進」(乳酸菌の摂取、腹部・腰部温罨法、腹部マッサージ)
- 「トイレ誘導の推進」(排泄環境の整備、適切な誘導タイミングの見極め、排便姿勢の確保)
- 排便体操の実践(腹筋、腹式呼吸、体幹ねじり)
で構成しました。
テスト期間は2ヶ月半で、前半の30日は①~③のプログラムを12名の利用者(おむつ排泄4名、トイレ誘導8名)に実践し、後半の45日は、老健「寿里苑フェリス」の理学療法士・小澤英雄氏が考案した「排便体操プログラム」を9名(おむつ排泄4名、トイレ誘導5名)の対象者に実践しました。排便体操は、臥位・座位・立位で実施できるよう、①「座位を自力でとれる高齢者向け」、②「座位姿勢が比較的安定している高齢者向け」、③「ゆっくりでも自力で歩ける高齢者向け」の3つのプログラムで構成しました。
寄稿:船津 良夫(1998年~2017年 ユニ・チャーム排泄ケア研究所 主席研究員)