快適に過ごすためのもれ対策
もれ方と対処方法
もれ方とその原因、対処方法を知り、参考にしましょう。
テープ止めタイプで動く時にもれる
テープ止めタイプのアウターで、寝た姿勢から座位、座位から立位へと姿勢が変わった時、体動が激しい時、おなか側や背中側にすき間ができたり、全体がすれてしまいもれる。
考えられる原因
- アウターのサイズが合っていない。
- 寝ている時と座っている時、満腹時と空腹時の腹囲が違うため、すき間が生じる。座位・立位がとれたり、動きの激しい人には、おなかまわりに伸縮性のないテープ止めタイプより、伸縮性のあるパンツタイプの紙おむつの方が適している。
- パッド(インナー)とアウターの整合性がよくない。
対処方法
- アウターのサイズが大きすぎる。ひとつ小さいサイズに変更する。
- テープ止めタイプを使用の場合:腰骨の上に上側のテープがくるように、股上を長くあてる。姿勢が変わるたび、ひとつの動作を終えたあと、こまめにテープの位置を貼り直す、あるいはパッドと紙おむつをあて直す。座位・立位がとれたり、動きが激しい人は、パンツタイプのおむつ(紙パンツ)とパッドに変更してみる。
- パッドと紙パンツの整合性が悪く、パッドがずれる場合は、紙パンツ専用のパッドを使用する。
- パンツタイプの紙おむつ(紙パンツ)とパッドを使用している場合でも、姿勢が変わったり、動いたあとは、紙パンツを股上を深くズリあげたり、調整をする、あるいは履き直す。
男性で、いつも同じところからもれる
考えられる原因
- 男性用の袋状のパッドからペニスがはずれる。
- 男性用に、ろうと状にたたんだパッドからペニスがはずれる。
- 平らに敷いたパッドの中心からペニスがずれる。
- ペニスの向きが上向き、横向きになった状態でアウターを固定した。
対処方法
- ペニスが短い(陰茎の萎縮、陥没)場合、袋状パッドは不適切。
- ろうと状にたたんだパッドの上に、もう1枚平らにパッドをあてる。
- パッドを平らにあてる場合は、ギャザーの高い、深みのあるパッドを選び、パッドは谷型に包み込むように平らにあて、ペニスを下向きにする。
- 一般的に、ペニスは下向きにおさめた方がもれにくい(ただし、上向きあるいは横向きにおさめた方が安定するケースもある)。
- 尿量が多く、ろうと状にあてたパッドから溢れてもれる場合は、ろうと状にたたんだパッドの先をつぼめずに開いて、尿をアウターの吸収体(あるいは下に敷いたもう1枚のパッド)に流れるように導く。
横向き寝で休むことが多く、いつもおなかの横側からもれる
考えられる原因
- 横向き寝の場合、おむつは少ししか汚れていないのに、もれてしまうことがある。尿が中心に向かって流れパッドの中心に落ちていく位置関係にないため、吸収されず、横からもれる。
対処方法
- 尿がどこにあたり、伝わり、流れて行くのかを予測する。
- ギャザーの高いパッドを使い、流れが予想される部分のギャザーをしっかり立てる。
- 流れが予測される方向にパッドの中心をずらし、パッドを広くあてる。
- 尿のあたる部分にパッドを谷型に包むようにあてる。あるいはパッドにしわをつくり流れる溝を中心に向かって作る。
- アウターも左右対称でなく、中心を少し横へずらしてあてる。流れる方向のギャザーをしっかり立てて、すき間を作らない。
- 流れが予測できない場合は、広い面積のパッドを使う。
股(太ももまわり)からもれる
考えられる原因
- ギャザーがよれたり、折れたりしているため、防波堤の役目を果さない。
- 股ぐりにすき間ができていて、すき間からもれる。
- アウター(テープ止めタイプ)のサイズが不適合
対処方法
- ギャザーが倒れていないか、外側のフリルをめくり、ギャザーが立っていることを確認する。よれたり、折れたりしていたら、肌と立体ギャザーの間に指を入れて、ギャザーを立て直す。また、太ももまわりの外側のフリルが内側に折れ込んで入っていたり、肌着やねまきが太ももまわりに挟まっていると、そこを伝ってもれることがあるので、フリルや肌着は外側に引き出しておく。
- 太ももが細く、股ぐりにすき間や谷間ができてしまう場合は、おなか側のテープ止めを浅く、背中側は余らせ気味にあて、上下のテープをクロスがけに貼ると、太ももまわりが狭くなり、ぴったりする。
- アウターのサイズが大きすぎる。ひとつ小さいサイズに変更する。
足が開かない、拘縮で足が曲がらない、伸ばせないので、おむつがうまくあてられない
考えられる原因
- アウターを足の間に通せない。おしりの下でだぶつき、アウターの背中側が腰骨の上まであがらない。アウターの前面がおなか(おへその上)まであがらない。
- あてている時から、パッドがよれたり、ずれたりし、尿道口や肛門を覆えず、ふさげない。
対処方法
- パッドを先にあてる。パッドは内側を山に、2つ折りにし、被介護者を横向きにして、股間に挟み込む。
- アウター(テープ止めテープ)も前の部分を内側を山に、2つ折りにし、両端を両手で持ち、左右にゆすりながら引きあげる。パッドとテープ止めの位置を修正し、横向きの姿勢で片方のテープを止めておく、次に体を反対向きに変換し、もう片方のテープを止める。
- おしりにたるみを作らず、パッドをしっかり股間に挟み、パッドをテープ止めのギャザーの内側に納めるのがコツ。
はう、ずる、などの動作や、紙おむつをいじることでもれる
考えられる原因
- 動きによって、おなかまわりのサイズが変化したり、姿勢の変化ですき間ができる。
- 紙おむつをいじって、はずしてしまう。
対処方法
- テープ止めタイプの場合:股上を長くはかせ、腰骨にひっかかるように、上のテープが腰骨より上にくるようにあて、落ちにくく、ずれにくくする。
- 移動の時に、はう、ずる人の場合は動きが激しく、テープ止めタイプの適応には限界があるため、伸縮性のあるパンツタイプが適している。ただしパンツタイプでも、動きの合間にずりあげたり、はき直させるなどの調整が必要。
- 紙おむつをいじったり、はずす原因を観察する。「汚れているからはずす」のであれば、排尿間隔を予測し、交換間隔を短くするケアが望まれる。「汚れる前からはずす」のであれば、きつすぎる、ムレるなどの不快感によるものなのか、あるいは、おむつをすること自体に抵抗感を持っている場合も考えられる。おむつを拒否する気持ちを表現できないが、受け入れられないことを行動で示しているのかもしれない。テープ止めは受け入れられないが、紙パンツなら納得してもらえるケースもある。どうしてもアウター製品を受け入れてもらえない場合は、今お使いの下着をアウターにしてインナーを工夫するしかない。布の下着にパッドを使う場合、布の下着専用のパッドやギャザーの高いパッドを「谷型あて」にして対応する。おむつの選択においても、被介護者の自己決定の原則は尊重されるべきである。利用者がおむつをいじったり、はずしたりする場合は、その原因を究明し、不快感がなく、本人が受容できる排泄ケアのパターンと用具を再検討する必要がある。
夜間多尿で、もれの部位が一定でなく、動きや姿勢とも関係なく、溢れるようにもれる
考えられる原因
- 尿量が紙おむつ(パッド)の吸収可能量を超えている。
- 紙おむつ(パッド)の吸収能力が活かされていない。
対処方法
- おむつ(パッド)の吸収能力が不足している。尿量を測定し、尿量に合わせた吸収力の紙おむつ(パッド)に変える。
- 尿の量、流れ、勢いに応じて、紙おむつ・パッドの吸収力、面積、溝の作り方、ギャザーの高さなどを配慮し、商品を変える。
尿と軟便が混ざってもれる
考えられる原因
- 泥状便、水様便のため、もれる。泥状便、水様便は尿に比べ、紙おむつ(インナー)の吸収スピード・吸収力・保水力が低い。
対処方法
- 泥状便、水様便を外にもらさないためには、いったん便をためておく空間(溝)を紙おむつ(インナー)の中に作っておくか、便の流れを高いギャザーでせき止め、表面に流して広げる。
- 便が流れ込む部分に溝のある紙おむつ(インナー)を選ぶ。
- 便の流れ込む部分に、紙おむつ(インナー)の溝を作ってあてる。
- ギャザーの高い、面積の広い紙おむつ(インナー)を選ぶ。