排泄ケアのことなら排泄ケアナビにおまかせ!

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  2. 利用者様の多様なニーズに応えサービスの“質”を高める方法

1. “眠り”でサービスの質の向上を図る!

大野さん(副所長):2016年に法人全体でコストダウンへの努力が求められ、単価の安いパッドに切換えたのですがモレのトラブルが発生していました。夜中のパッド交換は、睡眠の妨げにもなっていたと思います。モレの解決、そして、在宅復帰後はご家族がおむつ交換することを考えると、夜中の交換は極力ないほうがいいに決まっています。そこで、ユニ・チャームさんに相談し、2017年~2018年にかけておむつを見直しました。

大野さん(副所長):高機能の商品の方が単価は高いですが、モレ対応やオムツ交換にかかっていた人的コストが削減でき、上手く使いこなすことで利用者様やご家族に価値も生まれました。眠りでサービスの質向上を実現!見合う対価は得られています。今後は、まだ多尿の方など夜中の交換をしている方々がいるので、 一晩中安心さらさらパッドSkin Conditionの試用やユニ・チャームから睡眠に関する研究資料を提供してもらい、夜間良眠を推進していきたいと考えています。

2. “にやりほっと” で、利用者様の可能性を広げる

ピア観音様のホームページには ”一つ一つの専門的サービスが良いのは当たり前で、その傍らに、人の心が優しい、楽しみな食事が美味しい、落ち着いた環境があること等が、「あんしん・まんぞく」を大きくするのではないか”との思いが記されています。

ケア雑誌にも取り上げられたピア観音様の ”にやりほっと運動” について伺ってみました。

大野さん(副所長):“にやりほっと運動”とは、2018年から導入した、利用者様の観察記録を通じた取り組みです。日々の介護記録に、職員が思わず「にやり」としたことや「ほっ」とした出来事などを、“にやりほっと”のタグを付けて書き残します。

例えば、認知機能の低下で発語や表情に乏しかった方が、「トイレを探している利用者様を助けていた」というにやりほっとがありました。そこから、他者への配慮が見受けられると気づき、「家では食事を作っていた」との家族情報と合わせて、配膳の手伝いという役割があればいきいきとされるかも!と考察し、ケアプランに反映しました。


恵良さん(介護主任):また、車椅子から立ち上がろうとする利用者様を目撃した場合、リスクマネジメントの観点では転倒リスクと捉え、「危険!ダメダメ!立ち上がらないで!」となりますが、にやりほっとでは「歩く準備ができている」とポジティブに捉えます。その結果、歩行へのアプローチを開始したり、おむつでなくリハビリパンツに変更してトイレに、など利用者様の可能性を引き出すことに成功しています。


大野さん(副所長):”にやりほっと”で、利用者様の個別性に寄り添い、プラス視点で可能性を広げることで、利用者様のQOLが高まります。ヒヤリハットも2017年と比べ2割も減少しました。施設の雰囲気も前向きで明るくなり、ケアをすることが楽しくなりますね。利用者様との関わりで悩むスタッフの方も多いと思いますが、スタッフのやる気アップにもつながりますよ!

配膳の役割を担っていらっしゃる利用者様

ピア観音様の離職率は6%前後で、一般的な介護職員の離職率16%(公益財団法人介護労働安定センター『介護労働実態調査』2017年)を大きく下回ります。“にやりほっと運動”の効果のほどがうかがえますね。

3. 多職種が能力を存分に発揮する現場

恵良さん(介護主任):ピア観音では、看護師、介護士、リハビリスタッフなど、多職種で排泄委員会を構成します。排泄の自立支援を行うためには、リハビリスタッフからのコメントがほしいし、肌のことや排便コントロールのアドバイスは看護師にしてほしい。日常生活の水分摂取量の把握等は、介護士が一番よくわかっているので、排泄委員会には多職種からメンバーに入ってもらいました。

ピア観音様ではユニフォームにアロハシャツを導入されており、スタッフは全15種類の中から、自分の好きな柄を選んでいるそうです。「集合写真を撮ろう!」との呼びかけに、色とりどりのアロハシャツに身を包んだスタッフの皆さんがたくさんが集まってくださいました。

スタッフの方々の多様な専門性を彷彿させる、アロハシャツの多彩な柄と明るい笑顔が印象的でした。

【今回の取材先】介護老人保健施設 ピア観音

広島市にある社会福祉法人 慈楽福祉会グループの介護老人保健施設です。『人として 人を愛し 人を大切にし 心身ともに安らかで楽しい暮らしを応援する』という理念のもと、ピア観音では、お客様の能力に応じ可能な限り自立した生活を在宅で営めるよう、きめ細かな看護・介護の支援と在宅復帰を目指したサービス提供を行っています。