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「再びトイレでの排泄をめざして」〜98歳入所者様へのアプローチの実践〜

社団法人石岡市医師会 介護老人保健施設「ゆうゆう」 リハビリテーション科
理学療法士 鈴木祥二・渡邊 基子(リハビリテーション科長)

はじめに

当施設入所者様が1カ月間の入院により身体機能が低下し立位保持困難となった。それに伴い排泄方法がトイレ誘導からオムツ対応に変わってしまった。改善を図るためには日常生活を変えることの大切さを感じながらも、生活場面の関わりを介護職・看護職員にまかせていた。また実生活の現場に出向くことをしなかったために利用者様の「諦め」という気持ちを感じとれず「高齢者は回復困難」という固定概念を本人や他職種の人と共に強調してしまっていた。今回、本症例と向き合うことにより生活場面を知ることが利用者様の本当の気持ちやチームアプローチの具体性を見つけ出す大切な場であると実感できる機会をえたのでここに報告する。

キーワード:トイレ誘導・高齢者・チームアプローチ

症例紹介

入所時
  • 年齢:98歳(女性)
  • 疾患名:変形性腰痛症、両側変形性膝関節症、骨粗鬆症、尿路感染症。
  • 介護度:要介護3。
  • ADL:Barthel index 50点 トイレ介助1人(腰かけ座り動作介助)。
  • HDS-R:15点(見当識障害なし、短期記憶・計算問題に減点あり)。
  • 可動域制限:体幹伸展−30°、右股関節−35°、左股関節−40°、右膝関節−35°、左膝関節−40°
  • MMT両下肢・体幹:4〜5レベル。
  • 利用者及び家族の施設生活に対する意向:
    本人・・・家に帰りたい、家族・・・現在の生活を維持して欲しい
  • リハビリ目標:身体機能の維持
再入所時
  • ADL:Barthel index 25点 トイレ誘導せずオムツ対応(尿意・便意曖昧、立位保持出来ず)。
  • HDS-R:精神的落ち込みや混乱により行えず。
  • 可動域制限:passiveでは著名な変化みられないが左膝に痛みあり(ROMexにより痛み軽減)。
  • MMT両下肢・体幹:2〜3レベル。
  • 利用者及び家族の施設生活に対する意向:
    本人・・・特になし、家族・・・車椅子で過ごせるようになりトイレに行ける様になってほしい
  • リハビリ目標:トイレ2人介助から1人介助へ。

経過

再入所〜2カ月
  • ADL:オムツ対応、移乗時全介助、車椅子自走5m
  • 身体機能面:起き上がり介助、端坐位(近位見守りレベル)、立位保持困難
  • 精神面:「何も出来ない赤ちゃんになった」、「もう100歳になるから無理にリハビリしなくていい」、居室にて大声を出し介護職員呼ぶ(コールを使用せず)、離床拒否
  • 治療プログラム(週2回):1.ROMex 2.徒手筋トレ 3.立位練習 4.物理療法
2カ月〜3カ月
  • ADL:トイレ誘導開始2人介助(前方介助)、移乗時(中〜重介助)、車椅子自走(10m)
  • 身体機能面:起き上がり可(ベッド柵使用)、端坐位(遠位見守り)、立位保持10秒可能(手摺把持)
  • 精神面:介護に対する依存心高いが「ありがとう」の発言・笑顔みられる、食堂にて食事、朝の体操参加
  • 治療プログラム:1.ROMex 2.徒手筋トレ 3.立位練習 4.物理療法 5.平行棒内歩行(介助にて1往復)
3カ月〜4カ月
  • ADL:トイレ2人介助(手摺把持にて後方介助)、移乗時軽介助、車椅子自走(20〜30m)
  • 身体機能面:端坐位自立、立位保持20秒以上可能(下肢の踏み変え困難)
  • 精神面:「足と腰がだめだ」と自身の身体に関心示すようになる、上着など自身で着用しようとする、「トイレで排便するから調子がいい」と発言される、食堂にて他利用者様と笑顔で関わりある(発話はみられない)
  • 治療プログラム:1.ROMex 2.徒手筋トレ 3.立位練習 4.物理療法 5.平行棒内歩行(2〜4往復)
4カ月〜5カ月
  • ・ADL:トイレ2〜1人介助、移乗時(車椅子からベッドへは近位見守り)、車椅子自走(45m以上可)
  • 身体機能面:手摺把持にて立ち上がり可、立位での下肢の踏み変え介助にて可
  • 精神面:入浴日を楽しみにする、食堂にて他利用者様と大声で話す機会みられる
  • 治療プログラム:1.ROMex 2.徒手筋トレ 3.立位練習 4.物理療法 5.シルバーカー歩行(100m)