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排泄学エキスパーツ取材

肌トラブル予防に向け、おむつの中の「ずれ」を意識したケアを心掛けましょう

北海道大学 名誉教授

医療法人社団廣仁会 褥瘡・創傷治癒研究所 所長

大浦 武彦 先生

おむつの中の「ずれ」も肌トラブルを招く!

私は褥瘡の専門家として、長年にわたり、病院や在宅で高齢者の肌トラブルの治療にあたってきました。肌トラブルの多くは、体にかかる「圧」と「ずれ」が一因です。ここ数年の研究で、従来行われてきた褥瘡予防のための体位変換やおむつ交換も、頻回な場合には、却って圧やずれを生じさせ、肌トラブルを引き起こしかねないことがわかってきました。このことをつきとめて以来、私はおむつ交換回数を少なくすることを推奨しています。もちろん、これはおむつがさらさらした状態に維持されていることが条件です。

さらに研究が進み、最近になって判明した一つの事実があります。それは、おむつをしている際、便・尿の刺激だけでなく、おむつの中で生じる圧とずれもまた肌トラブルの一因になっているということです。このずれは、体位変換やヘッドアップ、移乗などごく日常的な介護のシーンで発生し、また皆さんの想像以上に、肌に負担をかけています。

圧とずれ、さらさら感、交換頻度に気を配る

では、実際どのような点に気をつければよいのでしょうか。まずは圧とずれの除去です。背抜きは多くの現場で実践されていると思いますが、ぜひ殿部までの圧抜きとずれの除去も行ってください。特に仙骨や尾骨に骨突出がある場合、同じ重さをより狭い範囲で受けるため、組織が損傷しやすくなります。マルチグローブなどを用い、手を滑らすようにして丁寧に行うとご本人に負担をかけず、圧やずれが低減できます。

利用者様に優しい、「考えるケア」の実践を

大浦武彦

北海道大学 名誉教授

医療法人社団廣仁会 褥瘡・創傷治癒研究所 所長。

超高齢社会に際し、褥瘡の社会問題化を予見し、1998年に日本褥瘡学会を創設、第1期、第2期理事長をつとめる。褥瘡の予防から治療まで、広範かつ多岐にわたる問題の研究を行う日本の褥瘡治療研究の第一人者。

また、日本在宅褥瘡創傷ケア推進協会理事長及び、日本下肢救済・足病学会理事長としても活動。

こちらの記事は、ユニ・チャームが病院・施設向けに配布している『ライフリーいきいき通信 2018年冬号』の内容を一部編集して掲載しています。