1.
忙しくてできない…では損する!
制度改正も味方にする最新排泄ケア

“排泄の自立” は 利用者様もご家族も願うこと!

桑原看護師長:排泄は、人間の尊厳に関わる大切な生活行動です。排泄の自立度が少しでも向上すると、利用者様からとても喜ばれます。日常生活のすべてにおいて意欲と自発性が生まれ、ADL全般の回復につながっていく姿をたくさん見てきました。これほどわかりやすく変化が見られるのも、ご高齢の方にとって、排泄は「最後まで自分で行いたい」と思う行為だからかもしれません。
介護するご家族のニーズも、「排泄」にあります。ご家族が「これなら自分でも排泄介助ができる」とイメージできるかどうかが、在宅復帰の鍵だと言えます。

もちろん施設にとっても、排泄の重要性は同じこと。「大変だから」「忙しいから」と自立支援の取り組みを後回しにしていたら、利用者様のADLはますます低下して、ケアするスタッフの負担が増す…という悪循環に陥ってしまいます。ですから、たとえ忙しくても排泄の自立度を上げるケアに取り組むべきだと考えます。最初は大変に思えても、続けていくうちに必ず楽になります。また、今までは利用者様の笑顔が私たちにとってのご褒美でしたが、介護保険制度の改定で排せつ支援加算が導入されて施設経営にも貢献できるようになったのは、ありがたいことです。

ユニ・チャームのサポートで
“スタッフの意識統一”と“支援計画書作成の不安解消”

桑原看護師長:当施設は、2018年10月から「超強化型」老健に指定されましたが、自立支援に対するスタッフの意識統一が最初からできていたわけではありません。ちょうどそのころ、排泄ケアコーディネーターさんが紹介してくれたのが「排泄リハプログラム」でした。
最初は「普段からやっている排泄ケアがそのままリハビリになるなら、こんなに簡単なことはないよね」と気軽に始めたのですが、目覚ましい成果を実感するのにつれて、スタッフたちの意識も変わっていきました。また、「支援計画書」の作成は難しく面倒なイメージがありますが、排泄ケアコーディネーターさんからヒントをもらって、とてもスムーズに作れるようになり、現在は利用者様の約3割が算定の対象になっています。
実施するにあたり、リハビリプログラムやおむつの当て方の勉強会なども実施していただき、スタッフの理解を助けてもらったことも大きかったですね。

自立排泄支援、取り組みたいが
人手・時間がないとお悩みの方はこちらをCheck!!

<事例紹介>
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2.
あり得ない!?
たった3週間で
「ベッドでおむつ交換」の利用者様が…

桑原看護師長:当施設の自立排泄支援の取り組みで、一番変化が顕著だったのはK様です。当初はベッド上でのおむつ交換で、腰も上がらなかったのに、わずか3週間でトイレまで行けるようになり、みるみる元気になられました。何よりもご本人の喜びが大きく、ADLの変化は排泄だけにとどまらず生活全般に波及しています。

腰上げができるようになったタイミングで、紙おむつからリハビリパンツに変えました。夜は夜用パッドを使用し、モレもなく、朝までぐっすりお休みになっています。現在はトイレも一人介助で対応できます。パンツ専用のかんたん装着パッドを使用し、ご自分で交換していただいています。

「“おむつ” から “パンツ” になって、
起き上がれるようになったことが、一番うれしい」

実際の声を音声で聞いてみる再生/停止

K様:とにかく起き上がれるようになったことが、一番うれしい。それから、ごはんをひとりで食べられるようになったの。今までは食べさせてもらっていたけれど、それがもうね、ひとりで最初から最後まで食べられる。

インタビュアー:それは素晴らしいですね。パンツになってどうですか?

K様:看護師さんが楽だわね、違う?

スタッフ一同:(笑)

K様:私、おむつの時は立っていられなかったんだわ。おむつだと、どうしても寝転んで交換してもらわなくてはならないでしょ。パンツだと、トイレでもお風呂でも立ったままやってもらえる。私が立っていられるようになったのは、主任のおかげだわ。

そりゃあ、最初は必死だったけど、できるようになるものね。パジャマの着替えもできるようになったの。自分で考えて、いろいろ工夫してね。

松尾主任:以前はこんなにお話しされなかったんですが、よくしゃべるようになって(笑)。本当にうれしかったんだと思います。以前は食事もあまり進まず、入れ歯も入れたがらなかったんです。今はご自分から「入れ歯を入れる!」とおっしゃって、食事量も増えました。昨日は立ち上がりもできたんですよ。ね!

成功体験が「やってあげたい」に

松尾主任:こんなに明るく、意欲的に変わられて、私たちも驚きましたし、とてもうれしかったです。排せつの自立度が回復し、おむつからパンツになった喜びや自信が弾みになって、身体機能や生活能力の回復にもつながっていったのだと思います。スタッフにも達成感があり、モチベーションが上がる経験でした。こうした成功体験から、「あの人も、この人も、やってあげよう!」と自然に広がっていったのです。

3.
ずっとここで働きたい!
職員が辞めない老健のヒミツ

取り組みの成果1:仕事にやりがい!昨年は離職者がゼロに

桑原看護師長:利用者様に笑顔が増えるにしたがって、スタッフが仕事をする姿もいきいきと輝きを増しているようです。忙しいと流れ作業的になってしまいがちなケアですが、一人ひとりがより良い方法を考え、意欲的に取り組む「やりたいケア」に変わりました。ケアを始める前後では、ご利用者のADLが目に見えて変化するので、仕事のやりがいやモチベーションの向上にもつながっているんです。おかげさまで、当施設では昨年の離職者がゼロでした!人材が定着しにくい介護業界において、ここで働くことを喜びに感じてくれるスタッフがたくさんいることは、当施設の財産です。

取り組みの成果2:排泄ケアの標準化ができた

桑原看護師長:排泄リハプログラムというひとつのマニュアルがあることによって、自立支援の行動基準が明確になりました。例えば「腰上げができたらリハビリパンツにする」「座位ができたらトイレに行く」といったわかりやすい基準があることによって、変化の見極めや次のステップのタイミングなど、スタッフ間の意識のばらつきが統一できました。どのご利用者様に対しても、適切なケアが行えるようになったのです。

取り組みの成果3:他フロアとの交流も活発に

松尾主任:取り組みを始めて顕著だったのは、スタッフ同士のコミュニケーションが増えたことです。自立排泄支援の成果が高いご利用者様がいると、みんなが「どうやったの?」と聞きにいきますし、違うフロアにも見学しにいくんです。逆に、思うような成果が出ていないときは「こんなときどうしている?」と聞きあえる雰囲気もできました。排せつの自立支援ケアを通じて、施設全体のコミュニケーションが活性化したのは、大きな収穫ですね。

【今回の取材先】
介護老人保健施設
みなみ

愛知県一宮市にある医療法人泰玄会グループの介護老人保健施設です。『地域で一番面倒見のいい老健』を目指し、あたたかい心のふれあいを大切に、思いやりと優しさにあふれた介護・リハビリ・看護で、安心・快適な療養生活をお届けしています。現在は、「超強化型老健」として、在宅復帰にも積極的に取り組んでいます。