ゆとりを創出し効率的に 自立排泄を進めましょう

人手と時間が足りない現場での
「自立排泄」のはじめ方

まずは “ゆとり“ の創出を! 自立排泄に取り組む準備のステップ

忙しさが慢性化しているケア現場では、頻繁なおむつ交換や肌トラブルへの対応などに時間を取られ、スタッフ様の負担になっているケースをよくお見受けします。自立排泄に取り組むなら、まずはゆとりのない現状を見直すことが第一歩。高機能パッドを活用しておむつ交換回数を減らす、スキンケアで肌トラブルを予防するなどしてスタッフ様の業務負担を軽減できれば、自立排泄の取り組みに充てる時間や人手だけでなく、気持ちの “ゆとり” を創出することも可能です。

利用者様の状態は? 自立排泄を始める前のチェックポイント

おむつ交換回数を見直すと生活リズムが整い、利用者様のご様子にも変化が見られるようになってきます。利用者様がいきいきすればするほど、そのぶん自立排泄の成果が期待できますので、以下のようなポイントを、自立排泄を始める際の目安にしてみてください。

<Check!>自立排泄に取り組む準備はできていますか?

□ 夜間はぐっすり眠れている
□ 日中は離床してしっかり目覚めている
□ おむつ装着部の肌が健やかに保たれている

できていない・不安に感じるなら、まずはここから見直しを!
■準備(1) 「おむつ交換」の見直しから始める業務改善 >>
■準備(2) ココを変えたい!介護現場の「肌トラブル」と「ニオイトラブル」>>

まずは小さな取り組みから。
自立排泄の鍵は「継続すること」

成果は少しずつ、でも今後の生活は大きく変わる

トイレで排泄できるようになると、よりご本人らしい生活が可能になり、心身の機能も向上します。施設様と取り組んだ検証では、認知症でトイレ誘導拒否がありトイレ成功率も低く、テープ止めタイプを使用していた方に誘導を開始しました。トイレ成功率の高そうな昼に1回から始めたところ、徐々に効果を実感。「トイレに排泄できて意欲が出てきた」「おむつ失禁が減った」などの声もいただきました。
最初は1日1回からでも、トイレ誘導を検討してみましょう。下のグラフからわかるように、トイレ誘導を実施した方とおむつ内排泄の方を比較した結果、1年後、2年後と時間が経過するほど、心身の機能に大きな差が現れることも実証されています。

※追跡型在宅介護者WEBアンケート調査(2015,2016,2017年で同一回答者で追跡)ユニ・チャーム調べ
※ADL3(介助があれば立てる方)n=58
※指標:生活動作(Barthel-Index)、生活意欲(Vitality=Index)、要介護度。内側に行くほど低下。

リハビリパンツを上手に活用しましょう

「失禁量が多いと紙パンツではモレが心配」「上げ下げが難しい」いう声もお聞きします。 ユニ・チャームのリハビリパンツは、トイレ利用をサポートするために開発された商品です。おむつが原因でトイレ利用をあきらめてしまうことがないよう、モレや履きやすさなど改良を続けてきました。リハビリパンツやパッドを上手に活用していただくための勉強会も実施しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。

生活の中に取り入れよう!
どなたでも始められる「自立排泄」

自分でトイレに行き排泄できることだけが自立ではありません

立位や歩行が困難でベッドで過ごす時間が長い方の場合、自立排泄は難しいと思われがちです。しかし、今はトイレ誘導ができない方でも、トイレに行くために必要な機能を整えることで排泄の自立性を高めていくことは可能です。いきなり完全な自立を目指しても、逆にご本人に不安や苦痛を与えたり介護の負担を増大させたりしてしまうかもしれません。自立排泄を支援する上で大切なことは、ご本人の残存能力に応じて一人ひとりにあった方法で段階的に目標のレベルを上げながら、一歩ずつ自立排泄に近づけていくことです。

身体の状態にあわせて無理なく自立排泄に近づける方法

専門家と共同で開発した「排泄リハケア体操」は、ご高齢の方がトイレに行き、排泄できることを目指して作られました。それぞれの身体の状態に応じた体操を、リハビリやレクリエーションなどに取り入れながら、無理なく簡単に行っていただけます
また、おむつ交換時の動作そのものをリハビリと捉える「生涯自立排泄プログラム」も作成しています。トイレやベッドでのおむつ交換の際に動作を促したり、介助の場合にはご本人にも力を入れてもらったりするものです。実践した施設様・病院様では、「おむつ交換のときに腰上げができるようになった」、「リハビリパンツに移行できた」など、確かな成果を実感されています。“できた!” の体験は、きっとご本人に自信と意欲の高まりを、介護者には達成感をもたらすでしょう。詳しくは排泄ケアコーディネーターにお尋ねください。

実は難しくない!?
今日から始める「排せつ支援加算」

排せつ支援加算って何をすればいいの?

平成30年度の介護報酬改定で「排せつ支援加算」の項目が追加されました。排泄が自立していないとなかなか在宅復帰できないという問題に対して、排泄支援の取り組みへの評価を高めてインセンティブを与える仕組みが作られたのです。排泄に介護を要する利用者様のうち、身体状態の向上や環境の調整で要介護状態の改善が見込める方が対象になります。申請するためには、自立排泄に関する支援計画書やご本人・ご家族の同意などが必要になります。ケアプランを検討して適切に自立排泄に取り組めば、加算取得は決して難しいことはありません
※実施に際しご不明な点は、各都道府県の介護保険の問合せ窓口にご確認ください。

支援計画に役立つ自立排泄支援のヒントをお伝えします

排せつ支援加算の対象者選定や計画立案にはいくつかのポイントがあります。例えば、支援計画には、排泄に介助を要する原因や支援計画を具体的に記載する必要があります。そのためには、一人ひとりの運動機能や排泄機能、認知機能などを正しくアセスメントし、状態に応じた支援方法を決めていくことが大切です。排泄ケアコーディネーターは、排泄日誌を始めとしたアセスメントツールや事例などの情報をご提供しながら、皆様のお取り組みをサポートいたします。

【事例紹介】
「排泄を少しでも良くしてあげたい」
揺るぎない想いで自立排泄に取り組む

排泄委員会委員長の飯塚介護主任

飯塚様:“排泄を少しでも良くしてあげたい” 職員共通の想いです。排泄はケアの中でも体力が必要ですし、自立排泄の取り組みはすぐに成果が出ずに難しいこともあります。ただ、ベッドでの全介助よりも少しでも自立に向かって進むと、ご利用者にとっても職員にとっても楽になってくるんですよね。そして何よりも向上していくご様子が嬉しくて、よし、がんばろう!という気持ちにつながります。当施設では排せつ支援加算が始まる前から排泄に重点を置いていますが、これからも一層取り組みを進めていきます。

定期開催されている排泄委員会

土壌ができれば、自立排泄は難しくない

排泄委員:排せつ支援計画は、入所時のカンファレンスの時点から検討に入り、すぐに取り組みを始めます。個人のできない部分にフォーカスして具体的な援助方法を検討し、安全に配慮しながら実行して記録に残す、そして排泄委員会で情報を共有する。特別な事はやっていないですし、実際に動いて自立排泄の土壌ができてくると難しさは感じないですよ。
排泄委員会では、フロア単位でやっていることを詳しく共有しています。すると、あそこのフロアもこんな取り組みをやっているからこっちもやらなきゃという相乗作用が生まれてくるんですよね。そこに、ユニ・チャームさんにも入ってもらって刺激を受けることで、モチベーションを持ってやり続けられる力になっています

排泄委員の皆様と排泄ケアの取り組みをサポートしている佐藤

勉強会で意識統一やレベルアップも交え、できるだけ維持していきたい

排泄委員:自立排泄の取り組みには、おむつ選定も重要です。座位や立位が取れる方はリハビリパンツを使い、組み合わせるパッドも失禁量に応じて使い分けます。ご自分で交換できる方にはパンツに付いてズレないかんたん装着パッドを使用しています。ユニ・チャームの佐藤さんには勉強会を実施してもらい、職員の意識統一やレベルアップをサポートしてもらっています。

実際に全介助から自立になったご利用者から「自分でできるからもう大丈夫だよ」というお声を聞けた時には、ご自身の自信にもなっているんだと嬉しくなりました。また、リクライニング車イスで入所された方がトイレ誘導できるようになって、排せつ支援加算の期間はもう終わったのですが、できるだけこの状態を維持できるように今後も援助を続けていきたいですね。

【今回の取材先】
公益社団法人 地域医療振興協会
伊東市介護老人保健施設 みはらし

伊東市介護老人保健施設 みはらし様は、伊豆半島の東玄関口、観光都市として有名な伊東市にあり、温泉に恵まれた地区の高台に立ちます。敷地内にも温泉が湧き、施設の入り口には地域の方が無料で利用できる足湯があります。
このような恵まれた環境のもと、地域や家庭との結びつきを重視し、「生活機能の維持・向上を支援し在宅での自立を支援する」施設として、ご利用者やご家族に寄り添い、排泄支援に積極的に取り組まれています。ライフリーは、みはらし様のこの自立支援の取り組みをサポートしています。