下剤に頼らない排便ケア

排便コントロールのアプローチ

排便コントロール・まとめ

医療法人社団俊和会 寺田病院 神山剛一

排便障害は、さまざまな要因で起こるので、どうしても複雑に思えます。下剤によって定期的に排便を促す方法は最も単純に思えますが、大腸に便が残っていない状態で使用すると、下剤に反応しないと誤解され、下剤がどんどん増えていく危険性があります。
確かに排便は定期的に見られるべきです。しかしながら、しっかりとした食事を摂取していることが排便の前提であって、食事内容を考慮せずに下剤のみで排便をコントロールする姿勢は偏ったケアと言わざるを得ません。
特に下痢や軟便しか出ない時は、「下剤が効かない」のではなく、「出るべき便がない」のでは?と、視点を切り替える必要があります。さらに適度な運動や、衛生的なトイレで落ち着いてできるかなども、快適な排便にとって必須条件です。「下剤で出す」と言う関わり方から、「ほどよく出す」、「気持ちよく出す」と言った観点で接することがより重要と考えます。
いい排便の見本は、身近なところに存在します。それは、患者さんと関わるみなさん自身です。みなさんが排便に困っていなければ、排便で困っている患者さんは自分とどこが違うのか眺めてみると良いでしょう。生活パターンが違うのか、食べる量が違うのか、便の形が違うのか、比較することによって問題が見えてきます。便秘対策に困った時は、まずは身近な見本と比べてみて、問題点を見出すことが解決へのヒントになります。

神山 剛一

医療法人社団俊和会 寺田病院
外科,胃腸科,肛門科

専門分野
消化器外科
資格
医学博士、日本外科学会専門医、日本老年泌尿器科学会評議員など
略歴
1992年昭和大学医学部を卒業し、以降消化器外科医として直腸癌の外科治療に携わる。その過程において排便機能の重要性を認識し、術後の排便障害だけでなく、いわゆる便秘や便失禁の診断治療、さらにリハビリテーションや在宅医療の現場における排便コントロールに関しても積極的に取り組み、全国各地で啓発活動を行っている。2017年10月より現職。