下剤に頼らない排便ケア

排便コントロールのアプローチ

水分や食事の影響

医療法人社団俊和会 寺田病院 神山剛一

食事や生活、全身の病気が、排便に対して、どのような影響を与えるのか見ていきましょう。
一般的に水をたっぷり飲むと便が出やすくなると思われがちですが、臨床研究によると水分摂取による便秘解消効果は見られませんでした。もちろん脱水症状は全身状態の問題として便が出にくくなる可能性はあります。しかしながら、必要以上に水分をたくさん飲んだからと言って便秘が良くなるわけではないのです。
では食物繊維はどうでしょう。一例を上げると、オオバコやアラビアゴムを投与した研究があります。下痢の便失禁患者に対して、オオバコやアラビアゴムを投与することによって便失禁が改善したという報告があります。これらは甘味料として用いられる食料品で、生け花の際の吸水スポンジのような効果を発揮します。カットした茎を吸水スポンジに刺しておけば、生けた茎は水浸しにならず、一方で花は必要に応じてスポンジから水分を吸収できます。アラビアゴムは腸の中で同様のはたらきを示すと考えられます。すなわち腸の中に余分な水分があれば、それを吸収することで下痢を防ぎ、乾燥した便に対しては水分を補給して便を軟らかくする作用があります。下痢状態では容易に便失禁がおこるので、オオバコやアラビアゴムを投与することによって、便失禁が改善したという報告です。
いずれにせよ、食事内容の工夫によって便の性状が調整できれば、便失禁をコントロールすることが可能であることを裏付けた研究と言えるでしょう。

POINT 水分と食事

  • 甘味料、カフェインは蠕動運動を刺激
  • 飲水の効果は未定
  • 下痢による便失禁患者に対してオオバコまたはアラビアゴムの投与は効果あり